●略歴
1934年 千葉県市川市に生まれる。
1958年 東京大学理学部地質学科卒
1961年 同上数物系研究科地質コース修士課程修了
1962年 同上博士課程中退
1962年 私立獨協学園高等学校・中学校教諭
1969年 埼玉大学助手教育学部(地学担当)
1971年 同上助教授教育学部
1972年 ドイツ連邦マールブルグ大学客員教授(1974年10月まで)
1980年 埼玉大学教授教育学部
1994年 11月9日没
  理学博士(1970)
●著書目録
  単著
共著
発行年月 発行所 概要
T 著書
1 日本の地質第3巻(全9巻)(関東地方) 1986年10月 共立出版社(東京)
352頁
編者、大森昌衛、端山好和、堀口万吉。著者、荒巻重雄、大島治、鈴木尉元他40名。関東地方の地質情報を集大成した地質誌。第1章、関東平野の基盤(76〜78頁)を執筆。筆者自身の研究による関東平野の基盤等深線図、基盤地質図を紹介したもので、関東地方の自然環境を規定している地価構造についての研究である。
2 日本の火成岩 1989年 岩波書店(東京)
107-122頁
編者、久域育夫、荒巻重雄。著者、荒巻重雄、青木謙一郎、諏訪兼位、矢島敏彦他3名。日本の火成岩の記載岩石学的紹介。そのうち第3章“斑れい岩”の部を執筆。主として岩石の野外的、光学的特徴、観察法、研究上の問題点を徹底的に検討したもので、特に結晶分化作用、カルク-アルカリ岩の成因を含め、日本の塩基性深成岩類の考察法を系統的に述べている。
3 小学校理科教科書        
みんなの理科     3年 1992年2月 学習研究社(東京) 監修、矢島敏彦他4名。筆者は全体の企画、立案、構成を行うとともに。地学関連分野の執筆、検討、図面、写真、用語等のチェックなどをおこなった。李下の教科書の新しいスタイルを試みている。

              4年上 1992年2月 各約60頁  
                 下 1992年2月
              5年上 1992年2月
                 下 1992年2月
              6年上 1992年2月
                 下 1992年2月
4 学研の観察実験シリーズ
土と石
土地のできかた
他全24巻
1992年2月 学習研究社(東京)
各39項



5 地学のガイド
(新版埼玉県)
1992年2月 コロナ社(東京)
299頁
編集委員長矢島敏彦。埼玉県の地質についての著者等の最近の調査研究にもとづくガイドブック。筆者は全体の企画・構成を行うとともに、1埼玉県の自然環境、5地質環境のおいたち他を執筆している。


U学術論文
1 南部のフォッサマグナの小貫入岩体について 1968年3月 “フォッサマグナ”
日本地質学会編
133-117頁
火成岩体の性状についての研究報告・日本列島の中央部に南北方向に小入岩体群が配列していること、それが斑レイ岩より閃緑岩に至る連続的岩相変化を示すことを明らかにした。この南北性入岩の配列方向は第三紀末以降現在に至る日本列島全体にかかる応力場の状態を示唆するものとして重要である。本論文ではこの貫入岩中の連続的岩相変化の原因が高酸素圧にもとづくことを論じた。



2 The Sanogawa gabbro-diorite complex. 1968年3月 Sci. Rept.
Saitama Univ.
Ser. B,vol. 5
,No. 3 199-230頁
火成岩の成因についての研究報告。日本列島に多いカルクアルカリ岩がソレイアイト質マグマより結晶分化作用により形成されることを初めて実証した。その実例として、南部フォッサマグナ地域の山梨県佐野川の斑レイ岩‐閃緑岩岩体の鉱物学的、岩石化学的検討を行なった。特に高酸素圧、高水蒸気圧下での鉄分の酸化作用と磁鉄鉱類の生成が珪酸分に富むマグマの形成に重要な役割を果たしていることを証明した。(学位論文)

3 分配法則と結晶分化作用 1971年3月 埼玉大学紀要 
第19巻(教育学部編)
63-73頁
マグマと造岩鉱物中の主要元素・微量元素の分配についての研究。希土類元素、特にユーロピウムの分配によりマグマ中での晶出鉱物を決定する方法を生み出した。日本での放射化学分析法のもっとも初期の成果の一つであって、微量成分分配研究の口火を切ったものである。分配係数の実測値は、発生時のマグマと平衡にあったマントル物質の推定を可能にするに至った。

4 Variation of Rare Earth Concentrations in Pigeonitic and Hyperthenic Rock Series from Izu-Hakone Region, Japan 1972年2月 Contr. Mineral.
And Petrol. 35,
Springer-Verlag
(Berlin) 235-244頁
著者、T.Yajima, H.Higuchi & H.Nagasawa。火山岩中の微量元素についての研究。世界の代表的な火山岩である伊豆箱根地域の火山岩中の希土類元素濃度パターンが分化作用の進行にもかかわらず、各岩系毎に特有の形態を示すことを世界で初めてあきらかにし、その原因を考察した。矢島は分析資料の作成準備と、分析測定結果の検討、理論的考察(分化モデルの提唱)を行なった。

5 地球構成物質分化の初期段階について 1972年3月 埼玉大学紀要 
第20巻 
(教育学部編) 
155-133頁
地球内部の組成を推定するには、宇宙化学組成、原始地球化学組成を手掛かりとすることも重要な考え方である。本論文は隕石と太陽光彩の化学組成より求めた宇宙組成から、どのような理論によって地球構成物質の組成が確定されていくかを考察したもの。月面物質の情報が得られる直前の、地球組成の体系的考察。組成分化の流れを明らかにしている。

6   Petrology of the Murotomisaki Gabbroic Complex 1972年7月 Jour.Japan.Assoc.Min.
Pet.Econ.Geol.
Vol67, No.7 
日本岩石鉱物鉱床学会編 
218-241頁
日本で最も鉄分濃集度の高い室戸岬斑レイ岩体について、岩石学的・鉱物学的記載・報告を行った。その中で重力場での結晶分化作用によって鉄分に富むマグマ、火成岩ができる過程を明らかにした。特に低酸素圧・低水蒸気圧下での固結作用が残液中の鉄分の濃集をひきおこし、カンラン石・輝石中のFe/Mg+Fe比が増大してゆくことを証明した。(学位論文2)

7  Petrochemistry of the Murotomisaki Gabbroic Complex 1972年8月 Jour.Japan.Ass..Min.
Pet.Econ.Geol.
Vol67, No.8 
日本岩石鉱物鉱床学会編 
247-261頁
火成岩の成因についての考察。鉄分の濃集度の高い室戸岬斑レイ岩体の化学組成変化を結晶分化作用によって証明した。特に初期晶出鉱物により後期結晶出鉱物にわたって、Fe/Mg+Fe比が徐々に増加するのと平行して斜長石中のNa比が増加していく過程、初期マグマより後期マグマの導かれる過程を定量化学的に証明した。(学位論文3)

8   Cation distribution and equilibrium Temperature of Pigeonite from Bassalt 15065. 1974年2月 Proc. Fifth Lunar Confer. Geochim,
et Cosmochim Acta.
Vol.1,
Pergamon Press(New York)
769-784頁
著者、T.Yajima and S.S.Hafner。月の岩石についての結晶学的研究報告。月面試料中のピジョン輝石をメスバウワー法とX線構造解析法などによって解析し、陽イオンの配置を検討したもの。ピジョン輝石形成時の圧力の推定を可能とした。Haferがメスバウアー法の測定を、矢島が4軸によるX線構造解析、プリセッション法、加熱実験をマールブルグ大学、ゲッチンゲン大学、ハイデンベルグ・マックスプランク研究所でおこなった。

9   Analytical Data on the Geochemical Standards JG-1 Granodiorite and JB-1 Basalt by Atomic Absorption Spectrophotometey 1973年3月 埼玉大学紀要 
第24巻 
数学・自然科学編 
61-78頁
著者、T.Yajima and M.Kajima。原子吸光法による分析法を確立し、標準試料JG-1、JB-1を測定したもので、これによって一般の岩石鉱物の化学組成を容易に正確に求めることができるようになった。珪酸塩分析法のマニュアル化の試み。

10 伊豆半島南端付近の地質構造と1974年伊豆半島沖地震の発生機構 1976年3月 地質調査所特別研究報告 著者、鈴木尉元、小玉喜三郎、三梨昴、矢島敏彦。地震と地質構造の関連についての研究。1974年に伊豆半島南端石廊崎付近でおこり、断層活動に伴って被害の大きかった地震発生機構を、地質構造単元の識別を手掛かりとして明らかにした。矢島は、この地域に多量に分類する火山岩類の分類と顕微鏡観察を担当した。また、火成活動と地震活動の関連について考察をすすめた。

11 和歌山県,潮岬複合火成岩体について 1977年3月 埼玉大学紀要 
第25巻 
数学・自然科学編 
22-44頁
著者、矢島敏彦、福田秀史。西南日本外帯の太平洋に面した紀伊半島潮岬に分布するカルク・アルカリ火成岩帯についてはじめて記載報告を行なった。特に西南日本外帯の巨大地震震源区域の境界部に貫入する火成岩の構造的意義を明らかにした。

12   On the Role of the Igneous Activities in the Tectonic Movements, with Special Reference to the Muroto Peninsula Igneous Zone 1977年7月 地質学雑誌  vol.83,
No. 7
日本地質学会編 
395-409頁
著者、T.Yajima、M.Kajima and Y.Naganuma。火成活動と地質構造の関連についての研究。西南日本岩帯、室戸半島南端部の火成活動が地質構造、地殻変動とどのように関連しているかを論証した。特に、南北方向の火成活動帯が海嶺状の形態をしており、のちの地層形成・構造運動を規制したことを実証した。矢島は野外調査をまとめ、モデルの提出を行なった。新第三紀後期の日本列島の応力場と火成活動の関連を示す論文。

13 関東山地北東部緑色岩類の分類学的考察 1978年3月 埼玉大学紀要 
第26巻 
数学・自然科学 
35-59頁
著者、矢島敏彦、荒井豊、梶間幹雄。関東山地三波川帯最上部の緑色岩類を岩石の状態に復元して分類考察を行ない、野外調査時の判別法並びに地質図での表記上の問題に厳密な基準を作った

14 A critical review on the petrogenesis of low  1979年3月 埼玉大学紀要 
第26巻 
数学・自然科学 
29-44頁
伊豆箱根地帯の火山岩類の主成分(特に希土類元素)についての研究を集大成して、結晶分化作用によって、各元素の濃度変化に惹きおこされることを証明した。日本に多い低カリ型火山岩類の成因を総合的に論じた。

15 南部フォッサマグマ地域・天子山地南西部の南北性岩脈群について 1891年3月

埼玉大学紀要 
第29巻 
数学・自然科学 
35-49頁

著者、矢島敏彦、加藤尚裕。火成活動についての研究。富士火山西部の天子山地の南北性岩脈の3次元的形状を野外調査した結果の報告と検討。特に岩脈の末端部がくさび状になって、母岩を破壊していることを証明した。矢島は主として理論的解析を行った。地下におこっている岩石破壊にマグマがどのような役割を果たしているか実証的に明らかにした試み。


16 関東平野基盤岩類の岩石学的特徴と地質構造 1981年3月 地質学論集
Vol. 20
日本地質学会編
187-206頁
関東平野基盤の調査研究。関東平野で基盤(-2000m〜-3000m)に到達したボーリングコアの詳細な再検討を行ない、物理探鉱法、重力異常、地表地質資料と比較して関東平野の基盤構造の推定を試みた。関東平野近傍での発震機構研究の基礎資料を提出した。とくに関東平野下にNW-SW方向、NNW-SSE方向などの主要構造境界の存在することを推定した。これは後に海上保安庁水路部の東京湾エアガン調査で実証された。

17 室戸半島南部、行当岬、奥郷とその周辺部の地質 1982年3月 埼玉大学紀要 
第30巻 
数学・自然科学 
11-19頁
奥郷に分布する枕状溶岩の構造的位置付けに関する研究。室戸半島南翼についての地質調査の結果、室戸半島の新第三紀における屈曲とその後の地殻変動を論証する重要な根拠を示した。矢島は主として理論的総合化・検討を行なった。

18 室戸半島南部の地形と地質に関するノート 1982年3月 埼玉大学紀要 
第30巻 
数学・自然科学 
21-28頁
室戸半島の分水嶺が火成活動帯と一致していることを検証した論述。また、外帯南端部の微小断層についてはじめて詳細なデータを報告した。外帯での地殻変動がブロック単元毎に行なわれていることを論じた。とくに岩礁調査報告と室戸半島南端の詳細な断層調査の結果、西南日本外帯の応力解析の資料を提供した。

19 埼玉県内の紅レン石石英片岩の分布について 1983年3月 埼玉大学教育学部
地球科学観測実験室
報告第4巻1-14頁
著者、矢島敏彦、長谷河初男、丸谷泰。世界での最初に荒川流域において発見研究された紅レン石石英片岩の埼玉県内での分布状況を57ヶ所の露頭について正確な調査報告を行ない、関東山地地質調査の基礎資料を作った。



20 高知県室戸市佐喜浜海底火山の復元 1984年3月 埼玉大学紀要 
第32巻 
数学・自然科学 
1-11頁
著者、矢島敏彦、西田高久、長沼幸男、荒井豊。高知県室戸市北東部に分布する火山岩類が四万十帯中の海底火山の破片であること、室戸半島での構造運動と火成活動の関係を論証した。



21 南伊豆南西部の火成岩帯の分布と断層系 1984年3月 埼玉大学紀要 
第32巻 
数学・自然科学 
13-27頁
著者、矢島敏彦、松本尚、佐々木達哉、松本素、西川正巳。1974年伊豆半島沖地震の震源付近の火成活動について詳細な調査を行ない、応力場の解析をした。とくに地下深部から垂直方向に向かう力の存在とそれぞれがマグマの活動に関係あることを証明した。

22 埼玉県横瀬村丸山付近の緑石岩 1984年5月 地質学論集
第90巻5号
日本地質学会編
329-343頁
著者、矢島敏彦、梶間幹雄、荒川豊。関東山地北東部御荷鉾緑石岩類の分布状況を調査し、海底火山活動の復元と構造運動の関係を検討し関東山地の大構造の成因を論証した。
23 埼玉県比企丘陵周辺部の微小断層群 1984年5月 埼玉大学紀要 
第33巻 
数学・自然科学 
7-34頁
著者、矢島敏彦、西川正巳、森田晋、吉野和仁、西田高久。埼玉県北部の比企丘陵付近の新第三紀層中の微小断層群について平板測量を行なって関東平野地域の断層運動の時間的変化と主要な性質について報告した。

24 静岡県南伊豆町南西部の層序と構造 1985年3月

埼玉大学紀要 
第33巻 
数学・自然科学 
35-47頁

著者、矢島敏彦、松本尚。南伊豆町南西部の地質調査の結果この2系統の主要断層系によって小ブロック群に分割されており、断層運動において水平ずれの成分よりも垂直変位の成分の方が大きいことをしめした。

25 関東山地荒川中流域三波川変成岩類の変形の実際 1986年11月 埼玉大学紀要 
第34巻 
数学・自然科学 
43-70頁
日本列島の中軸に占める三波川変成岩類の変形についての系統的研究の第1報。全て測量によって定量的に、厳密に調査研究を行なったものであり、筆者の十数年にわたる関東山地三波川変成岩類の研究の第一報である。特に測量法とリモートセンシング法に新手法が用いられている。

V 事典
1 地学辞典 1970年11月 平凡社(東京) 編者、井尻正二、渡辺武男他。塩基性火成岩類に関する約30項目について執筆。主として筆者自身の研究によるカルク−アルカリ岩系の成因の紹介であって、佐野川岩体、室戸岬斑レイ岩体などの項目を含んでいる。日本の塩基性深成岩類についての初めての系統的紹介となっている。

2 日本大百科全書(全25巻) 1985年8月 小学館(東京) 編者、秋月康夫、永田武他。火山岩、火成岩、マグマ等火成岩類に関する約40項目について執筆。主として岩石の分類、記載上の特徴を教育的見地から平易に解説したものだが、最近の研究の結果を十分に加味したものである。

W その他(論文)
1 関東平野 周辺の山々 1981年3月 埼玉大学地球観測実験室報告 第3巻 1-10頁 大学屋上から展望可能な関東平野周辺の山々の何名を正確に同定、これが小学校・中学校・高校での地学教材としていかに有効に利用できうるかを具体的に明らかにした。

2 教師のためのやさしい岩石学-石さまざま-(1) 1987年8月 日本理科教育学会編
理科教育
第36巻421号
東洋館出版社(東京)
52-57頁
初等理科教育において重要な教材とされている岩石について、基礎教養講座として連続6回にわたって発表したものの第1回。(1)導入部、および(2)人間が岩石について考えてみようとする理由について考察した。レオナルド・ダビンチにとっての岩石と彼の自然観、ゲーテにとっての岩石などを出発点として日本の教育における岩石のとりあげ方、岩石が教材となる理由について考察したもの。

3 教師のためのやさしい岩石学-石さまざま-(2) 1987年9月 日本理科教育学会編
理科教育
第36巻422号
東洋館出版社(東京)
56-61頁
(3)岩石の名稱と由来、(4)近代的な岩石の分類、命名法の成立、(5)医師の密度と地球の密度について考察した。岩石の分類と命名は岩石について学ぶための第1の関門である。ここではライエル以来の堆積岩、火成岩・変成岩という区分方法のもつ意味を原典にもとづいて検討し、かつ実際上の分類時の困難な点、教育上の意義を考察した。また、地表の岩石の密度が、地球および他惑星についての推理の基礎となっていることを論じている。

4 教師のためのやさしい岩石学-石さまざま-(3) 1987年10月 日本理科教育学会編
理科教育
第36巻423号
東洋館出版社(東京)
58-64頁
(6)岩石の化学組成のあらまし、(7)日本列島における各種岩石の分布面積、(8)岩石の硬さ、(9)岩石を構成する鉱物より成る。岩石の性質を一般化して論じるには化学組成、分析法について概略を知る必要がある。これは無機化学の出発点でもある。次にこれらの岩石の分布を調べることは地質学的領域に興味をひろげることであり、空間認識にとって有効である。硬さは工学的、応用のための基礎知識となる。鉱物は化学組成比を規則的原子配列に関連づけてゆく。


5 教師のためのやさしい岩石学-石さまざま-(4) 1987年11月 日本理科教育学会編
理科教育
第36巻423号
東洋館出版社(東京)
58-64頁
(10)肉眼による岩石・鉱物の見分け方、(11)結晶系と光学的性質、(12)岩石の年齢と地球の年齢。本稿では岩石鉱物の識別法という、初心者向けの手ほどきから始めて、多くの人になじみのない結晶系、鉱物岩石の光学的性質についての重点的解説を試みている。岩石の年令、地球の年令は地学分野の一つの本質的課題に関連したもので、生物の進化、太陽系の諸問題につながる。初等教育における岩石教材の一つの存在意義が論じられている。

6 教師のためのやさしい岩石学-石さまざま-(5) 1987年11月 日本理科教育学会編
理科教育
第36巻425号
東洋館出版社(東京)
52-57頁
(13)石の形と色など、(14)火成岩体の形状、(15)日本列島の岩石、(16)他山の石。本稿では岩石の層理面、片理面、節理などの基礎概念について述べて、次に火成岩体の形状にどのようなものがあり、どのように分類されているか、成因も含めて論じた。岩石の分布は日本列島の地質構造発達しを調べることになる。ここでは簡単な日本の地質構造の考察が試みられた。最後に地学教育、野外考察、岩石園の主要問題を論じた。

7 教師のためのやさしい岩石学-石さまざま-(6) 1988年1月 日本理科教育学会編
理科教育
第37巻426号
東洋館出版社(東京)
56-62頁
(16)火山岩の分類、(17)日本列島の火山岩の分布、(18)世界の岩石の分布、(19)地質や岩石について学ぶことの意義。本稿では火山岩の分類、分布について、やや高度な観点から考察を試み、最後に世界の地質の概要を紹介した本論考は岩石学全般にわたってこれまで紹介されることのなかった新しい観点、新しい資料を展開することによって今後の理科教育にとって有用なものとなり得るだろう。

Xその他(学会発表)
1 西南日本外帯火成活動帯の微細構造 1977年4月 日本地質学会
(第84年学術大会)
室戸半島の小ブロック群の傾動の存在と火成岩の組成変化を論じた。
2 室戸半島南端部の四万十累層群 1977年4月 日本地質学会
(第84年学術大会)
地層の波曲構造と火成活動の関連を実証的に論証した。
3 関東山地横瀬地域のみかぶ緑石岩類と班れい岩帯群について 1978年4月 日本地質学会
(第85年学術大会)
火成活動の時間的空間的変化を実証したもの。
4 佐野川火成活動帯の好機岩脈群の岩石学的性質 1978年4月 日本地質学会
(第85年学術大会)
岩脈の三次元的分布状況の復元を試み、マグマ溜りについて推定。
5 構造運動における火成活動帯の役割
  -室戸半島を例として-
1982年5月 日本地質学会
(第89年学術大会)
室戸半島の北に凸な褶曲運動の原因として火成活動の意義を論じた。
6 室戸半島南端部の四万十累層群 1982年5月 日本地質学会
(第89年学術大会)
室戸半島の地質構造の概要を論じた、特に東西海岸の構造の差と火成活動帯の存在意義をしめした。
7 静岡県南西部の火成活動と地質構造 1982年4月 日本地質学会
(第91年学術大会)
この地域が2系統の断層で切られたブロック構造と貫入岩によりなることを証明した。
8 埼玉県比企北丘陵周辺部の小断層断裂群 1982年4月 日本地質学会
(第91年学術大会)
この地域の4系統の断層系について記載し検討をした。
9 関東山地荒川流域の主要変形運動 1985年4月 日本地質学会
(第92年学術大会)
関東山地の主要構造境界について総合的に考察し見解をまとめた。
10 埼玉県長瀞町周辺の微小変形 1985年4月 日本地質学会
(第92年学術大会)
長瀞町虎岩付近の節理系・断層系・微褶曲の測量図を製作紹介した。
11 埼玉県川本町荒川河床の小断層群 1985年4月 日本地質学会
(第92年学術大会)
川本町付近の4系統の断層系について応力解析を試みた。
12 埼玉県寄居町付近の微小断層群 1986年4月 日本地質学会
(第93年学術大会)
関東山地縁辺部の境界断層の詳細を測量によって調査検討した。
13 長瀞付近の変成岩中に見られる小しょう曲 1986年4月 日本地質学会
(第93年学術大会)
変成岩中の微褶曲の形成時期について検討を試みた。
14 荒川中流域長瀞付近の断層系の特徴 1986年5月 日本地質学会
(第93年学術大会)
長瀞岩だたみ付近の平板測量図をもとに断層運動と泡からの形成を論じたい。
15 静岡県南伊豆町南西部の火成活動 1986年5月 日本地質学会
(第93年学術大会)
この地域のドームベーズン構造と火成活動の関係を論証した。
16 関東平野西部の火山岩れきの分布と起源(予報) 1986年5月 日本地質学会
(第93年学術大会)
埼玉県北部の謎の火山岩礫の起源と時代についての初めての紹介と成因の推論。
17 長瀞付近の三波川変成岩類の微小変形時期 1987年5月 日本地質学会
(第94年学術大会)
変成岩中の微褶曲の多くが堆積構造に由来することをはじめて精密に実証したもの。
18 荒川流域変成岩類の分布形状と層序構造 1989年5月 日本地質学会
(第96年学術大会)
荒川流域で発見された非整合状構造についての最初の報告。

 

●矢島敬二の部

●矢島文夫の部